高取焼の歴史

一六〇〇年頃、日本は戦国時代。当時、手柄を立てた戦国武将には恩賞として領地を与えられるのが一般的でした。しかし領地には限りがあるために茶の湯の名器を褒美として与え、家中の統制に活用していました。その後の泰平の世の江戸時代になっても、各地の大名は競って陶工を招き、名器となる器の生産に力を入れ珍重したのです。また、陶工も士分の位などを与えられて大切にされてまいりました。

黒田藩の初代藩主・長政公に見いだされた『髙取八山』もその一人です。
黒田藩は八山に福岡県直方市の鷹取山の地に最初の御用窯を築かせました。
その後、山田、飯塚、と移窯し二代目の時期に現在の東峰村に移り、現在の十三代八山までに至っています。
御用窯であった髙取焼は藩主にのみ献上していた隠し窯。
名器をひとつ焼き上げると残りは全て割り捨てられるほど、徹底した献上品作りを通したために一般の世の中では出回ることはありませんでした。
唯一無二の名器を生み出すには、薄づくりを叶える土と技術、さらに釉薬の製法にこだわりと秘法が込められています。釉薬は一子相伝の秘伝書を通じて伝えられておりますが、伝承者のみにしか理解できない記述となっており、四百年もの長きに渡って、秘密は守り続けられています。

高取焼宗家はこうして一子相伝の技法を頑なに守り続け、権力者や茶人のみにしか持つことができなかった唯一直系の伝承の窯です。

髙取焼の特徴は陶器でありながら磁器のような薄さと軽さを持ち合わせた瀟洒で繊細な作りが特徴です。
細かく精製した土と「藁灰」「木灰」「長石」「錆び(酸化鉄)」で調合された優美な色味の釉薬が『綺麗さび』の世界をあらわしています。

伝統技法としては、唐臼によっておおよそ1か月間細かく砕いた土を水で漉し、粘土を作る方法です。東峰村で採取した土と福岡市の七隈で採取した白土とを混ぜて、当窯元のオリジナルの粘土を精製。白土を混ぜることで釉薬の発色が良くなります。
また目の細かいざるで濾すことによって、粒子のきめ細かい粘土となり、薄くて軽い器を作ることができます。

一子相伝による釉薬の調合は秘伝書によって代々受け継がれています。科学的なものは一切加えない「七色くすり」と呼ばれる釉薬は 掛け分けたり重ね掛けすることで複雑で美しい『景色』や『なだれ』を表出しています。

釉薬の掛け方で景色は変化するので、掛ける面積や分量を加減しつつ焼き上がりを想定することは、熟練の手わざを必要とします。

薪により焼成する登り窯では、火をコントロールする技術を要求されます。
全てが自然の中で、自然とともに行われ、伝統を守り続けてきた先人の知恵によって導かれています。油の多い赤松、燃えやすい杉、温度を保つヒノキなど、焼き加減も炎の色味を見ることで決めます。

おおよそ1250~1260℃くらいが焼成温度であり、まる2日間寝ずに焚き続けることで完成されます。
薪による焼成には思わぬ窯の中での変化などが見られ、炎の芸術といわれる効果は焼物のもつ深遠な道のりともいえます。
このように髙取焼宗家では、文明の進化した現代でもひとあじの違いにこだわり、昔ながらの技法により作品作りに精進しています。

作家紹介

茶陶部門十三代 髙取八山

髙取八山の写真

昭和35年 髙取焼宗家 十二代八山の長男として生まれる。十一代 静山の許で幼少より陶業を学ぶ。
昭和61年 京都市立芸術大学 陶芸科卒業。
平成2年 1年余り大徳寺派廣徳禅寺に於いて、修行。
帰窯後、髙取焼古窯跡の発掘陶片を元に研究、作陶に勤める。
平成12年 髙取焼宗家 十三代 八山を襲名する。

器部門NEO TAKATORI髙取春慶

髙取春慶の写真

平成元年 髙取焼宗家 十三代八山の長男として生まれる。
平成22年 九州造形短期大学卒業。
以後、十三代八山の許で修行。
平成26年 遠州茶道宗家の小堀宗実御家元の許で修業。
平成30年 帰窯後、作陶中。

制作の流れ

ろくろ成形 焼き上がりの2割増しの大きさです。

乾燥→削り→素焼き(試験窯使用)

施釉

本焼き(試験窯使用)サンプル完成

試験窯導入で、期間の短縮とご要望の意思疎通がスムーズに。

サンプルつくりで「大きさ」「形」「薄さ」「軽さ」「釉薬の色味」「手触り」「持ち心地」など、細かな点についてさらに深い打ち合わせが出来ます。
サンプル作り→試験窯で焼く→打ち合わせ→最終制作

試験窯導入で、サンプル確認や打ち合わせが効率的に。

試験窯導入により、同じ形での微妙な大きさの違いや釉薬の色味の確認が迅速に出来ます。一緒に好みのものを形にしてまいりましょう。
サンプルの実物をご確認いただき、最終制作(1〜4)に取り掛かります。

高取焼宗家の伝統そのままの薪窯で本焼き。

試験窯で焼いたデータを元に、高取焼宗家の伝統に従って薪窯で焼きます。薪で焼くことで、味わいのある唯一無二の器となります。
あなただけの特別な器となることでしょう。

FACE TO FACE

窯元の様子や東峰村の景観を見ていただきたいので、是非ご訪問ください。
焼物は手に取ってこそ、味わいが伝わります。
是非、髙取焼宗家まるごと感じていただきながら、顔と顔を合わせて打ち合わせさせてください。

釉薬の色味、土味、大きさ、薄さなど、具体的にお話ししましょう。
きっと、そこにあなたの想う器の世界がもっと広がることでしょう。

※ご遠方の方や訪問が難しい方は、出来る方法で打ち合わせさせて頂きます。

髙取の七色釉薬

道外DOUKE

まだらな感じが素朴な釉薬。玄人好みの土ものらしい色合いです。

飴AME

透明感のあるいわゆる飴色の釉薬。ろくろ目や櫛目が見えるのが特徴です。

薄黒USUGURO

やや赤味を含む黒系の釉薬です。焼物らしい色合いです。

黒錆KUROSABI

真っ黒な部分と粒状の点が美しい景色を生み出す釉薬です。

黄KI

まったりとした優しい黄色味を帯びたマット系の釉薬です。

黒KURO

黒い釉薬です。白い釉薬と掛け合わせることで優美ななだれが現れます。

白SHIRO

落ち着いたオフホワイト系の白い釉薬です。単独でも綺麗ですが、他の釉薬との掛け合わせで景色が現れます。

ふらしFURASHI

貫入のある透明感あふれる釉薬です。酸化焼成でベージュ系、還元焼成で青みを帯びます。

春慶SYUNKEI

一見すると、金属のような質感に見える釉薬です。黒錆と合わせると赤く発色することがあります。

カラーサンプルは、参考までに。実際の色合いや手触りは、実物と印象が違うように思われることもあります。
是非、一度お越しください。

代表事例

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TEL:0946-74-2045
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